人生・生き方

モモ ミヒャエルエンデ「無駄なものと大切なもの」

モモ・ミヒャエルエンデ

先日読んだ本「モモ(ミヒャエル・ エンデ著)」。小学校高学年、中学生くらいの読書感想文の課題本になることも多い、児童書のカテゴリに属す本です。実家の本棚でその背表紙は何度も眺めていたのですが、一度も開けたことがない本でした。今回ふとしたきっかけで読んでみたけど、すごく面白かった。最近ずっと思っていたことがファンタジーな世界でわかりやすく表現されていました。

時間どろぼうと,ぬすまれた時間を人間にとりかえしてくれた女の子モモのふしぎな物語.人間本来の生き方を忘れてしまっている現代の人々に〈時間〉の真の意味を問う,エンデの名作.

https://www.amazon.co.jp/dp/B073PPWX7L/ref=cm_sw_r_tw_dp_8MDN1TB2Q7HJWSX23D7R

灰色の男たちと呼ばれる時間貯蓄銀行の人たちが、街で楽しく暮らす人たちに「貴方の無断な時間を節約して貯蓄しましょう」と持ちかけて、優秀な時間貯蓄家を次々と作っていく。

文明は発達する。収入は増える。地位も得る。だけど、街の空気は灰色でキリキリしたものに変わっていく。

「無駄な時間をなくしましょう」と言われたら、貴方はなんの時間をなくしますか?

今の時代だと幼少期に、学校で、会社で「それは無駄だ、意味がない」と指摘を受けて既になくしてしまっている時間かもしれません。

  • 睡眠時間
  • 生活の雑務の時間
  • 誰かとの雑談の時間
  • 創作の時間
  • コーディネートに悩む時間
  • 付き合う前に重ねるデートの回数
  • 読書の時間
  • 歩く時間
  • 仕事や恋に関係ない人と遊ぶ時間
  • 食事の時間、料理の時間

無駄だと思って節約した時間は自分の個性がたくさん詰まった時間だったこと、よくあります。というか、ほとんどが個性の時間を節約してしまっているのでは?と思いくらい。

灰色の男たちが時間を節約して実現する無駄のない世界の対局には、みんなの個性が詰まった無駄の多い色とりどりの世界があります。

今、なんとなく苦しいな。うまくいかないな。ウキウキしないな。って思っているのは、賢く、効率的にいきすぎているからかも。

効率的にやって、うまくやって、その先に何があるのか?節約した分は何か別の形になって自分に戻ってくるのか?物語の中では「自分に戻ってくる」と約束されて節約した時間はどこかに消えてしまいます。実際の世界でもそうなることが多い。

時間を節約して節約して効率化して効率化しまくると、時間が戻ってきても何をしたらいいのかわからないのよね。で、戻ってきた時間の中で更なる節約や効率化をするための材料を探して、人生の楽しみ=節約と効率化になっちゃうんだけど。それが楽しい人ってごく僅かよね。(占星術的には6ハウス強調など稀にそういうタイプの人は存在します。それはそれで本当に楽しみだからよし)

やらなくていいこと、やりたいこと。

時間をかけたいこと、かけなくていいこと。

大事なものとたいしたことないこと。

それぞれが自分にとって何なのか?考える良いきっかけをくれる本でした。