こんにちは!桃生ににこです。
最近は子供たちの寝かしつけ時のお供に…ってこともあって、小説をたくさん読んでいます。去年の11月は数えてみたら10冊以上も読んでいました。寝不足だなぁ、疲れたなぁ、とは思っていたけど、そりゃそうですよね。
せっかく沢山読んでいるので、ブックレビューもいくつかしていこうかな?と思います。
今回は平野啓一郎さんの「ある男」について。ネタバレはないです。
弁護士の城戸は、かつての依頼者である里枝から、「ある男」についての奇妙な相談を受ける。
宮崎に住んでいる里枝には、2歳の次男を脳腫瘍で失って、夫と別れた過去があった。長男を引き取って14年ぶりに故郷に戻ったあと、「大祐」と再婚して、新しく生まれた女の子と4人で幸せな家庭を築いていた。
ところがある日突然、「大祐」は、事故で命を落とす。悲しみにうちひしがれた一家に、「大祐」が全くの別人だという衝撃の事実がもたらされる……。
愛にとって過去とは何か? 人はなぜ人を愛するのか。幼少期に深い傷を負っても、人は愛にたどりつけるのか?
「ある男」の人生を探るうちに、過去を変えて生きる男たちの姿が浮かびあがる。
人間存在の根源と、この世界の真実に触れる文学作品。
Amazon 紹介文より
ささやかだけど、幸せな家庭を営んでいて、だけど旦那さんが亡くなっちゃって、悲しみに打ちひしがれていたら、その大好きだった旦那さんが自分が思っていたのとは別人だっただったことを知る。
自分は一体、誰を好きだと思っていたんだろう…
あの人の何が好きだったんだろう…
好きだった気持ちは偽物だったのか…
って悩むわけですけど。
自分に置き換えてみると色々と考えさせられます。
年収1000万で仕事がバリバリできる!と思っていたら、年収400万円の借金まみれだったら?
感動した過去のエピソードが全部嘘だったら?
あの過去が嘘だったなら、あの話に笑ってくれた笑顔も嘘だったのか?
自分はあの人を本当に好きだったのか?何があの人を構成して、何に魅力を感じていたのか?
自分自身も何を持って「これが私である」と言えるのか…
彼の身元は依然としてわからなかった。しかし、彼はこれだけ多くの木の中から、特にこの一本を好きだと感じるような誰かなのだった。
「ある男」P165より
自分の中の変わるものと変わらないもの。
変わらないと思っていたけど、容易に変わってしまうこともあるし。
気がついてなかったけど、自分の中にずっとあった変わらないもの、もある。
自分の中の、相手の中の変わらないものを愛でていく。
変わるものも、その時々で楽しんでいく。
そういうことが大事なのかなぁ、と思います。